1mol(モル)単位を徹底的に分かり易く解説してみた。

モルという単位があります。SIでの基本単位の一つです。
元々はドイツ語でMolなんですが、SIではmolになります。英語の綴りではmoleで、モグラとかスパイとか色々な意味がついてくることから、アイザック・アシモフというSF作家がこれをネタに何か書いてました。
ハカレンジャーでもISO爺マンさんがネタにしてましたが、結論が

「私は光量子計には近付かないようにします。」

ってなんのこっちゃわからないオチだったので、ガッチャガッチャマンがサンダーバードよろしくヘルプに飛んでまいりました。
ちなみにISO爺マンさんの時代だとマグマ大使に出てくるモルですね。
英語版での説明文がまんま”mol”です。

ではまずmolの定義です。
「0.012キログラム(kg)の炭素12の中に存在する原子の数に等しい要素粒子を含む系の物質量」

高校の物理化学をサボってた人(俺は文系だ!って?)が、この文章見て「ああそういうことか」って納得したら、そ
れはそれで(違う意味ですが)怖いです。

ではまず文章をバラバラにしてみます。
・0.012kgの炭素12
・原子の数
・それに等しい要素粒子を含む系の物質量

余計わからん?
いやいや
では説明です。

 

0.012kgの炭素12

まず炭素です。
これは原子番号6番の元素で、記号は”C”です。
この”C”はみんな知ってるカーボン(carbon)の略です。
なんちって。
carbonは英語で、元素の名前の元はラテン語なので本当はcarboniumです。
日本語では”炭”、だから炭素。
原子1個で分子でもあります。(これを単原子分子と言います)

元素の中には複数の原子で分子を構成するものもあります。有名な酸素とか水素とかは、分子になると2個ずつのペア
になるので、酸素原子はO、酸素分子はO2、水素原子はH、水素分子はH2、というように書きます。
炭素は区別無く単に”炭素”または”C”って書かれます。

続いて炭素12です。
炭素は原子番号6なので、イメージとしては原子核内に陽子が6個あり、その回りを電子が6個回ってます。
陽子は”ようし”です。”ようこ”さんではありません。でも逆に電子を”でんこ”と読んで擬人化する輩も・・・

で、次の”12″は原子量です。

たとえば水素原子は普通の場合、陽子と電子が1個ずつで原子番号1、原子量1となります。陽子は正電荷(+の電気)を、電子は負電荷(-の電気)を持っているので±0で釣り合ってます。
もし陽子が2個だったら電子も2個ないとバランスが崩れます。
じゃ原子番号2のヘリウムは陽子2個の周りを電子2個が回ってるの?
となりますが、色々あって陽子2個と中性子2個の合わせて4個の回りを2個の電子が回っています。
この中性子というのが電荷を持たず、原子量だけ増やしてます。ヘリウムの原子量は4です。

ところで周期表があれば水素のところを見て下さい。
原子量がちゃんと1になっていません。
え?今調べたら1.00794って。
ガッチャガッチャマンが習ったときには1.00797だったのに。
良かった、酸素は15.9994だった。

話は戻って、水素の原子量が1でないっていったいどういうことかというと、殆どの水素は陽子電子ともに1個ずつとい
う普通の水素なんですが、中に変わったのが居て陽子電子中性子ともに1個ずつになってるんです。
これを重水素といい、英語ではdeuterium(デューテリウム)とも言います。
これ原子量は2です。
更に変わったのには陽子電子が1個ずつなのに中性子が2個という三重水素(英語ではtritiumトリチウム)なんてのまであります。
原子量は当然3です。
一番多いのは普通の水素原子ですが、重水素と三重水素も自然界にわずかながら存在してます。
これらを総称して同位体(isotopeアイソトープ)と言います。
電気的な特性が全く一緒なので、化合物も同じものを作ります。
でも重いです。
この水素とその同位体を自然界に存在する量で平均したら1.00794になったので、これが水素の原子量になるわけです。

これらを
水素1 元素記号H
水素2 元素記号D (デューテリウム)
水素3 元素記号T (トリチウム)
と書く場合もあります。
水素2の水はH2OではなくD2Oって変。
一個だけだったらHDO???

話は大きく戻って炭素です。
炭素12は今までの話から陽子、電子、中性子が全部6個ずつの炭素原子だって事がわかっていただけたと思います。
でも変わり者はどこにも居るわけで、炭素の中にも中性子の数が7個のと8個のがちょっとずつ居ます。
で、平均すると12.0107位になります。
そうそう、この原子量の数値は全て誤差の範囲でこれくらいというものです。
物理量はこんなのが多いんです。
で、ちゃんとした(?)計算に用いる場合には原子量まで指定して”炭素12″とか書くわけです。

 

原子の数

ちなみに原子量を数えるときには陽子数+中性子数で、電子数は含みません。
理由は陽子や中性子に比べて電子が非常に軽いこと(1800分の1より小さい)と陽子と中性子の質量差は電子くらいしかないことがその理由です。
ちなみに電子+陽子=中性子という話もあります。

この原子量、人間の感覚ではよくわからないので、単位を付けて12g(0.012kg)にしたらわかりやすいですよね。
じゃ12gにしましょう。
ところで炭素原子をいくつ集めたら12gになるんでしょうか。

答は6.022×10^23個(6.022掛ける10の23乗個)です。
炭素12をこれだけの個数集めると12gになります。
面白いことに(というか当然のことですが)どの元素でもこの数あつめると”原子量”gになるのです。
鉄56をこれだけ集めたら56g、金197なら197gとなります。
わかりやすくていいですね。
で、この数値のことをアボガドロ(アヴォガドロAvogadro)数っていいます。
え、いまはアヴォガドロ定数だって?
アヴォガドロも人の名前です。
で、正確には6.022のあとにもっと数字が続くんですが、単に6って書いてある本もあるし。
このぐらいにしといたるわ。

 

それに等しい要素粒子を含む系の物質量

続いて、酸素とか2原子分子の時はどうなるのかっていうと、これもアボガド数、もといアヴォガドロ数個集まると水素で2g、酸素で32g(“分子量”gですね)になります。
原子でも分子でもそのひとかたまりを要素粒子とすれば、タンパク質などの巨大分子になってもそのまま計算出来ます。
便利でしょ?

これにはおまけがあって、気体なら何でも当てはまるのですが、アヴォガドロ数個の気体分子(ヘリウムなどは気体でも1原子分子です)が集まると、その体積はほぼ22.4リットルになります。
これも便利でしょ。
これ使って質量濃度と体積比の換算を行う人も居ます(そういうご質問が来たことがあります)、。

 

結論

1モルとは
「アヴォガドロ数個の要素粒子(原子または分子)の集合体で、その時の質量は”原子量”g(グラム)。
気体の場合は加えて22.4リットルの体積を占める」

※アヴォガドロ数:6.022×10の23乗
※SIではkg(キログラム)が標準なので、”原子量/1000″kgとなる
※モル体積:22.4リットル

※※この文章中の物理量に関しては、元々ある程度の誤差を持って定義されているもののほか、再測で更新されているものや定義方法が変わったものなど、色々な理由で異なるものもあり、絶対に正しいものではありません。
例:水素の原子量 1.00797→1.00794
モル体積 22.4リットル→22.7リットル(気圧の違い)→24.8リットル(気圧・気温の違い)
など。

ちなみにこのアヴォガドロ数がSIでの質量の基準になるかも知れないので、ISO爺マンさん、知っておかないとまずいかも。

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