溶解性のない物質を測定するには?SS測定を利用しよう!

不溶解性浮遊物質は、SSである。
と言われても、なかなかピンと来ませんよね。

ここでは、不溶解性浮遊物質とはそもそも何か。
SSとは何か。
そんな基本的な事を解説していきたいと思います。

 

溶解性物質と不溶解性浮遊物質

まず、不溶解性浮遊物質を分かる為には、溶解性物質を理解する事が大切です。
参考にさせて頂いたコトバンクには、こう書かれてありました。

 

溶解性物質 ようかいせいぶっしつ

世界大百科事典内の溶解性物質の言及
【浮遊物質】より

…浮遊物質は粘土鉱物に由来する微粒子,下水や産業廃水中の微粒子,プランクトンやその他の微生物,粒子状の有機性物質などで,汚濁の原因となるばかりでなく,汚泥の原因ともなる。浮遊物質に対するものとして溶解性物質dissolved matter(略称DM)がある。両者を区分する方法は定まってはいないが,もっとも一般的には,0.45μm孔径のメンブランフィルターなどを利用したろ過により,通過できない成分を浮遊物質,通過したものを溶解性物質としている。…

出典 :
https://kotobank.jp/word/%E6%BA%B6%E8%A7%A3%E6%80%A7%E7%89%A9%E8%B3%AA-1432142

 つまり、水などの媒質に溶けないもののうち、沈んでしまわないものです。

 

SSとは?

次に、SSの説明に入ります。
SSは、直径2ミリ以下の不溶解性浮遊物質です。
不溶解性物質は、水質と外観を悪くさせます。

10μm以下の小さい不溶解性物質の分離は、「凝集処理」や「膜ろ過」が有利です。
一方、通常の10μm~2mm程度のSS成分であれば、通常の沈殿装置やろ過などで除去する事が可能です。

不溶解性物質とは、水中に浮遊または懸濁している直径2mm以下の粒子状物質の事です。
軽すぎれば、沈殿しないというのは何となく想像が出来ますよね。
不溶解性物質は、SSまたは懸濁物質(けんだくぶっしつ)とも呼ばれます。

濁り物質の正体は、降雨時に発生する土の粒子、沈降しにくい粘土の微粒子。
下水や工場排水などに由来する有機物および金属水酸化物などです。

測定方法は、試料水をガラス繊維ろ紙(孔径1μm、直径24~55mm)を用いてろ過・乾燥後、ろ紙上に捕集された量を秤量します。
試料水1リットル中の重さに換算して浮遊物質量(mg/L)とします。

 

水の濁り具合=水中への悪影響

浮遊物質が多いと、大変な事が起こります。
この浮遊物質が多くなると、まず水の透明度が低下します。
そして、魚類のえらがつまって死んだり、光の透過が妨げられて水中植物の光合成に影響し、発育を阻害します。
また、魚の産卵場、ノリの養殖場等での懸濁・付着などによる障害が発生します。
小さくて軽い浮遊物質ですが、これが多すぎると、このような悪影響が起きてしまうんですね。

 

河川の濁り(SS)と透視度の相関性

SSの測定は乾燥器や天秤などの器具が必要なため、現場で簡単に測定できないという欠点があります。
結構、面倒臭いんですね。
これに対して透視度は、透視度計さえあれば、どこでも手軽に測定できるという利点があります。
そこで、降雨時に採水した河川の濁水の透視度とSSを測定して比較すると。
透視度の逆数とSSの値には比例の関係が見られます。
この関係から、透視度を測定すれば、SSの概略値を推定する事が出来ます。
但し、残念ながらこの相関性は、同時期の同地点での測定に限定されます。

 

いかがでしたでしょうか?
小さい物質であるSS。
こんな小さなものが集まれば、大きな被害を水中に与えてしまうのですね。
水の透明度を守るためにも、定期的にSSはチェックしなければならないのかもしれませんね。

参考文献 :
図解入門 よくわかる 最新水処理技術の基本と仕組み[第2版]

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ライカのセオドライトを実際使ってみた!

電子式精密セオドライト T3000

ライカの最高峰セオドライトT3000

T3000です。
名機です。
現在のライカジオシステムズ(ライカ)の測量機のブランドがまだ「ウィルド(WILD)」だった頃、 民生用世界最高レベルの精度を誇った電子式セオドライト(経緯儀)です。

※WILDはワイルドではありません、ドイツ語なので”ウィルド”って読みます。
でもガッチャガッチャマンの怪しいドイツ語ではヴィルトって読んでしまいそうに・・・
ちなみにライカでは”セオドライト”ではなく、”セオマット”って言ってました。
また、日本などの一部では”トランシット”って言ってる人も居ました。
(ガッチャガッチャマンの同級生の某超有名大学の教授も言うてました、おっさん間違うてんで。)

 

測角精度

どのくらい精度がいいかというと、測角精度が0.5秒(σ1)。
角度0.5秒って想像出来ますか?
角度1度(一周の360分の1)の60分の1(1分)のそのまた60分の1(1秒)の更に半分!
約100m先の0.25mm(シャープペンシルの芯の半分!)をこっちから見たときの幅が0.5秒です。
この精度ということは、200m離れてピストルで撃ったらそのうちの概ね2/3の弾丸の先っぽが0.5mmの芯に命中って、漫画でもない命中率です。
10m先まで来たら0.025mm=25μm

実はライカではこの精度は珍しくなく、T3000とその派生機種(T3000A、T3000D、TM3000など)以外にも、T2000、T2002、TC2002TCA2003、TM5100、TM5100A、など数多くの機種がこの精度を備えていました。
現在でも、数機種がラインアップにあります。
日本のメーカー?
最近は頑張って同等の数字をたたき出す機種があります。

現在でも凄いこの精度を1989年に実現していた訳で、当時としては羨望のマシン。
先ほどの変教授や某大手電機メーカーの担当社員、某橋梁建設の職人、などから
「これ欲しかったんやけど」
とか
「いっぺん使うてみたかった」
「やっと手に入った」
などの声を聞いております。

ちなみに最小表示単位は0.1秒なので10m先で5μm。
昔の言い方だと、5ミクロン!
これ、一万円札(≒0.1mm)を20枚にスライスできる厚さです。
1万円札を平らなところに置いて、T3000で覗いて。
0.1秒動かす毎にパン切り器でスライスしていったら20枚に増えます。
すぐばれますが。

 

使用方法

ガッチャガッチャマンは、このT3000を実は使ったことがあります。
何が凄いって、0.1秒表示の場合、最後の一桁が静止してくれないのです。
常にふらふら動いていて、実は機械のせいではなく、環境のせいだったのです。
つまり、室内に於いても外を通る車等による振動、人の動き、わずかな空気の流れ、室温の変化、などの影響で微妙にT3000が動き、これを検出するとんでもない感度の良さを持っていたということです。
ということで、残念ながら1万円札を20倍にする方法は無理だと言うことがわかりました。

実用上でも人が目で見て認識するという方法は困難なので、ライカ製のシステム(TMSやAxyzなど)に組み込んで、計測値をPCで平均計算するという使用方法がほとんどです。
そのTMS(Theodolite Measuring System セオドライトメジャリングシステム)は2~8台のT3000を使用して、三角測量(角度のみを計測する)の方法(非接触)で、概ね30μm以内の精度でxyzの三次元座標を計測することが出来る、という化けもんシステムでした。

※TMSという名称はアメリカ向けだそうで、本来はManCATというソフトウェア名がシステム名になったものだと聞いたことがあります。
現在のライカにはTMS(Tunnel Measurement System)という同名の別物が存在するので、混同しないように(時代が違うので混同しようがないという話も)

さてこの名機T3000、高性能が故にいろいろな無理難題を背負わされる事になりました。

 

オートコリメーション測定

※オートコリメーション測定とは
鏡の方を向いたとき、正確に正対していれば自分の目が見えます。
セオドライトでも望遠鏡内に専用のターゲットが組み込まれていれば、それが見えます。
もし正対していないなら、セオドライトの角度を変えることで正対するように持って行けます。
このときの角度の変化量によって鏡がどちらにどのくらい傾いているかが正確に求められます。
これをオートコリメーション測定といいます。

オートコリメーション測定をするために、望遠鏡内にオートコリメーション用のターゲットを組み込みました。
この機種はT3000Aです。

 

PCコントロール

繋いであるPCからのコントロールを行うために、望遠鏡を回転させるためのモーターを内蔵しました。
望遠鏡の口径が大きいのでどの向きでも自由というわけではありませんが、ほぼ任意の方向に向けることができます。
PCから水平角と鉛直角を指定してやればそちらを向きます。
本機には専用のジョイスティック(!)が付属していて、それでの操作も可能です。
この機種はTM3000です。

 

測距(距離測定)

ターゲットまでの距離を測ることが出来れば、1台だけでxyzを求めることが可能になります。
(距離測定が出来ない場合は三角測量になるので最低2台必要)
TM3000の上に光波距離計(英語ではDistancemeter、ドイツ語ではDistomat)を載せてると距離と角度の同時計測が可能になります。
TM3000の上にDI1600やDI3000という距離計を載せたものがTM3000Dになります。

※TM3000には自動視準(ターゲットの真ん中に望遠鏡を向ける機能)も付いているので、PCと繋いで自動計測をすることも出来ます。

 

計測位置確認

TM3000にレーザーマーカーを取り付けることで、視準位置に赤いレーザーのマークが映り、どこを視準して計測しているかがわかるようになります。
もう1台のT3000と組み合わせることで三角測量も楽になります。
この機種がTM3000Lです。

 

計測位置視認

TM3000の望遠鏡内にビデオカメラを組み込んで、計測時にどこを視準しているかをPCなどで確認出来るようになります。
この機種はTM3000Vです。

 

測距+視認

TM3000Vに距離計DI2002を載せると、測距時にもどこを視準しているかを見ることが出来ます。
このTM3000に距離計とビデオが付いた機種がTM3000D/Vです。

 

拡張機能一覧

元々の素材が大変良かったT3000の特徴と、追加機能を付加するに際して欠かせない性能アップもここでまとめてみましょう。

基本機能

測角 アブソリュート・エンコーダー使用
標準偏差(水平角・鉛直角ともに)0.5秒(DIN18723)
最小表示0.1秒
望遠鏡 口径52mm、パンフォーカル式(合焦距離によって視野角が変化する)
最短合焦距離0.6m(補助レンズ使用で0.5m)
自動補正 二軸液体式、作動範囲(縦横とも)3分、設定精度0.1秒

 

追加機能

モーター 50度/秒(縦横とも)
自動視準 視準精度1km先で15mm以内
視準時間30秒以内
測距
(DI2002の場合)
標準偏差1mm±1ppm
測定時間3秒以内
測定範囲1素子プリズムで最大3.5km

ビデオ部分は詳細不明ですが、オートフォーカスだそうです。

 

用いられるシステムと目的

TMS(=ManCAT) セオドライト(測角機能のみ)を用いた精密三次元計測。室内がメイン。
車、航空機、電車等の製造管理に多く使用され、ほとんどのメーカーに納入されていたと言われる
ATMS AutomaticのTMSという意味で、TM3000LとTM3000Vを用いて、屋外でもセオドライト三次元計測システムが使用できるようにしたもの。
APS Automatic Polar Systemの略。TM3000Dを用いてターゲットプリズムの位置変化を捉える変位計測システム。特にダムや橋梁などの屋外の大規模構造物の管理に使用された。
Axyz アクシーズと読む。前記3システムを統合したシステム。3システムがMS-DOSベースなのに対してWindowsベースとなる。

計測対象

さて、いったい誰がこのとんでもない機械を使って、何を計測するのでしょうか?

ちょっと前にヒントがあります。
「車、航空機、電車等の製造管理に多く使用され」
ガッチャガッチャマンが実際に訪問したことがあるユーザーの用途では、あまり細かく書けませんが航空機、人工衛星、大型エンジン、大型発電機、といったところです。
実際に人工衛星関連は複数の会社で納品に行ったので、そのような用途には良い計測器&システムだったのでしょう。
後継機種を購入された所もあります。
ちなみに海外にも行ってます(機材だけですが)。
いずれも工作精度が数10μmのオーダーで必要なものばかりです。

 

計測

では例としてTMS(ManCAT)での計測の要領を挙げてみましょう。

 

 計測は室内で

室内で空調を効かせておくと
“温度変化が少なく”
“直射日光による歪みが発生せず”
“風による影響がない”
という精密計測に必要な最低条件を満たすことになります。
ただし、空調による風や振動は避けなければなりません。

 

 計測は明け方前

計測時刻は概ね午前3時~5時くらいの日の出前で、
“外部からの振動(車や鉄道、人などによるもの)がほぼ無い”
“日照による温度変化や建物の歪みも少ない”
という条件です。

 

 計測機は事前設置

計測する1時間以上前に機材の設置を行うことで、環境の温度と計測機の内部温度を同一
にすることで、温度変化による誤差を排除します。
設置直後は自重で位置が変わる可能性が高いので、それを避ける意味もあります。

 

 実測時間は短く

一式の計測は概ね10~15分以内で終わらせます。
如何に良い環境を整えても、時間の経過とともに外乱の影響を受ける確率は増えていきま
す。
実測時間を短くすることでそのような影響を最小限に出来るので、計測時間を短くする手
早い計測が必要です。
また、前記のような空調の影響を排除するために、計測中は空調を停止することもあるの
で、その場合も温度変化の起こる前に計測を終える必要があります。

 

 データはその場で検証

日を改めると同条件での計測は出来ないので、一式全部の計測を再度行う必要があります。
データをすぐ確認すれば、再計測が必要になった場合でもその部分だけを続けて計測する
ことが可能です。

 

 計測時重要事項

その他注意すべき点も多々あります。

計測機の精度が尋常ではないので、基準長(スケールバーなど)やターゲット(罫書きやシー
トなど)位置などの精度が重要になります。
計測(視準等)は一人で行います。
複数人員で計測すると視準の癖などで、ほぼ間違いなく誤差が発生します。
せっかく計測機の精度が生かされません。
計算結果は1/1000mmの桁まで出力されますが、精度としては1/100~3/100mm程度になる
ので有効桁数に注意してください。

 

欠点

T3000にもいくつか問題点というか使いにくいところもありました。

 

 表示言語

日本だけの問題ですが、操作パネルの表示が7セグメント表示なので、日本語表示が出来
ません。
英語等の表示は可能なので、英語わかれば問題ないんですが。
なお、アルファベットでも7セグメントだと癖があるので慣れないと読みにくいのは一緒
です。

 

 巨大対物レンズ

望遠鏡のパンフォーカルの対物レンズの口径が大きいので、縦に一回転出来ません。
このせいで大きなパラボラアンテナの計測に使う事が出来なかったという話を聞いたこと
があります。
方法はまあ内緒ですが。

 

 測量機ではない

測量機としての認定がないので、公共測量業務には使用できません。前の方にも書きま
したが最終桁(0.1″)が静止しないので読みにくく、かなり重いことと合わせて実用的に
はいろいろ問題があります。
※公共測量に使用される測量機は国土地理院の認定と1年以内の検定が必要ですが、T3000
は測量機の認定を取っていないので公共測量には使用できません。
実は使用した人が多くない理由の一つがこれです。測量に使用できないセオドライトを
何百万も出して買う人は普通は居ないですから。

T3000は名機ですが、現在ではほとんど使用されていません。
理由は機材が古くなってメーカーサポートも難しくなったことや、後継機種が出たこと、古い
プログラムは古いPCでなければ動かない、などです。
ガッチャガッチャマンはManCATとAPSしか見たことありません。残念です。

実はライカ(WILD)にはこのT3000よりも50年前に同精度のセオドライト(アナログ式です)があっ
たという、とんでもない話もあります。その辺はまたそのうちに。